日本の伝統食
日本の伝統食は主食のご飯に味噌汁がつくのが基本でした。主菜としては塩鮭や干物などの焼き魚、味付けの濃い煮魚などが多く、それに副菜として味の濃いイモ類や根菜類の煮物が少量添えられ、さらに副々菜として漬物や佃煮、イカの塩辛などのしょっぱいものがつくというのが、標準的な献立です。
献立の基本は「一汁三菜」ですから、形のうえでは理にかなっているように見えます。しかし、バランスの悪さはすぐにわかりますね。
まず、この献立では総エネルギーをご飯中心にとることになり、栄養素が糖質に偏ります。
味のないご飯をたくさん食べるために、塩分の濃いおかずを多く摂っているのも問題です。
たんぱく質が魚からだけになり、不足気味です。葉ものの野菜は味噌汁と漬物からしかとっていません。
全体に食材の種類が少ないことも気になります。必須といわれるビタミン、ミネラル類がカバーできるとは思えません。
しかし、これは日本の伝統食の悪い例を示したまでで、先に示した問題点を改善した献立を考えれば、逆に生活習慣病予防のための食事ができあがります。
悪い例を改善する
伝統的な日本の食事の悪い例を改善すると、理想の生活習慣病予防策になることを示しましょう。次はその一例です。
主菜は保存のために塩漬けにした魚は避け、照り焼きやムニエルなどの調理法にして、付け合せに香味野菜や大根おろしなどを添えます。野菜のあんかけなどもよいでしょう。
副菜と副々菜は、ほうれん草や小松菜のおひたしまたは煮びたし、大豆とひじきの煮物、切干大根の煮物、酢の物など、大豆製品、野菜、海藻などを組み合わせたものにします。また、味噌汁は具だくさんにします。ときにはけんちん汁もよいでしょう。デザートに果物をつけて整えます。
これなら塩分をとり過ぎることもなく、バランスよく必要な栄養素がとれるでしょう。脂質も少なく、ご飯を控えめにすればエネルギー過剰にもなりません。
食事の洋風化が進む昨今ですが、日本の伝統食は献立次第では理想的な食事になります。